このページの目次 ▼
1. 緊急通知
2. 第6回 団体交渉
3. 事態報告書が裏付けたAさんの主張と、明らかになった過酷な就業状況
4. 事態報告書の改ざんと言論封殺
5. 所属長が作成した報告書から明らかになった加害者側の認識不足
6. 銀行の新たな不祥事が浮き彫りに!2ヶ月も待たせた挙句、「何ら反省なき」銀行回答
7. 大阪労働局へ人権侵害行為とパワハラ問題を相談
8. グローバルな三井住友銀行のガバナンス欠如の実態の改善を求めて
・【福留新頭取に告ぐ】
9. 最後に
10. お問合せ・ご相談

三井住友銀行|人権侵害の自宅調査
第6回 団体交渉

■■■ 緊急通知 ■■■

三井住友銀行とは1年以上に及ぶ団体交渉を重ね、Aさんに対する人権侵害行為を追及してきました。ところが、当組合に対し、銀行は、自宅調査や個人のスマホ・PCの検閲などのプライバシー侵害を含む人権侵害行為を正当化し、コンプライアンスを軽視するなど、極めて不誠実な対応を繰り返してきました。

これ以上、社会的影響力の大きいメガバンクの不祥事を看過できないと考え、2023年1月12日、当組合ホームページにて、三井住友銀行による「自宅調査」などの人権侵害を公表する≪労働政策是正依頼サイト≫を開設し、一般公開に踏み切りました。

今回は、そのホームページ公開翌日(2023年1月13日)に行った第6回団体交渉で明らかになった新事実と、その後、三井住友銀行の不祥事を公表すべく行った数々の運動を報告する続編です。

自宅調査 生活を恐怖に陥れる異常性

第6回団体交渉

2021年12月に初めて開催した団体交渉(以降、団交と略す)以降、銀行側団交代表兼窓口の人事部副部長が、毎回の団交における当組合の質問に対し、「この場では回答出来かねる」「持ち帰って上司と相談する」といわゆる「ガキの使い」のような対応しかできないお粗末な状況でした。

このように団交のスムーズな進行を妨げる行為を改善させるべく当組合から、「団交の場ですぐに回答ができる上司」と思われる人事責任役員と人事部長の団交出席を、再三、強く要求してきました。

しかし、今回も銀行側団交代表はいつもと同じ人事部副部長でした。我々の追及に、毎回悲壮な表情で真面目に対応している人柄から本当は家庭では心やさしいパパであることが窺え、保身に走ったり銀行幹部に忖度する悪い癖はあるものの、当組合の参加者全員、彼が精神的に病まないか、銀行幹部から梯子を外されて路頭に迷わないかとても憂慮しています。

さて、団交では、自宅調査事件の翌営業日に、Aさんが提出した事態報告書と、その報告時のメールの送受信記録について、Aさんの銀行貸与パソコンに保存されているこれらの資料について、あらかじめ銀行の許可を得て持ち込みました。

Aさんは、ホワイトボードを活用したプレゼンテーション形式で、自宅パソコンからメール送信した経緯や背景を、詳しく説明しました。

プレゼンテーションの冒頭で、Aさんは銀行側出席者に対し「せめて今日だけは、先入観にとらわれた見方、保身に走ることや銀行幹部に忖度するなどはやめていただきたい。決して望まない自宅調査を受けて事態報告書を書かされた私と皆様が同じ立場になったつもりで、心を開いて私の話を聞いて欲しい」と呼び掛けました。

事態報告書が裏付けたAさんの主張と、明らかになった過酷な就業状況

当初、Aさんが所属長にメール送信した事態報告書は全4頁でした。その事態報告書には、これまでAさんが主張してきた内容や記憶が正確に記載されており、銀行が主張するような「Aさんによるパワハラの捏造」ではないことを裏付けました。

Aさんは、当時、事態報告書に反省の弁を書かなければならない立場でありながら、銀行や上司にとって不都合な内容を暴露したことが「その当時の究極に追い込まれた精神状況で、ギリギリ主張できた小さな抵抗であった」ことも団交で述べました。

【事態報告書(全4頁版)に記載されていた真実】
(=最終的に銀行に削除された、銀行にとって不都合な事実)

  • Aさんの上司である所属長の度重なるパワハラや、同僚の嫌がらせやイジメの過酷な就業状況の中で、「このままではつぶされてしまう」と精神的に追い込まれていたことが、具体的な出来事や人物名を出して記載されていた。
  • Aさんの職種転換試験の小論文や、セミナー企画書を自宅で作成せざるをえない状況に追い込まれた経緯・・・
    Aさんが小論文やセミナー企画書で記載した内容は、平素より、銀行に貢献したいと考えている思いや、社会人経験で培ったアイデアなどを記載したもので、銀行の内部情報や顧客情報に触れるものではなく、情報管理上で問題になる内容の記載ではないと考えていた。事前に関係通達を確認した上で、機密情報ではないので、堂々とメールするべきと考えメールで送ったと記載。
  • Aさんの自宅への調査の直前に「懲戒免職やぞ!」と恫喝されたこと、また、そのことで強い恐怖を感じ、「本件の重大性を認識した」と思い込まされた経緯の記載
  • Aさんの自宅調査の原因となった自宅パソコンからメール送信の相談は、もともとAさん本人が自主的に問題ないか調べて欲しいと副所属長に相談したことが最初であり、その副所属長は、そのまま9日も放置し、その間、Aさんより催促された経緯も記載されている。

このように、Aさんが1年以上団交で主張してきたことが、数年前の自宅調査の直後に記載されていた事態報告書で裏付けられました。また、Aさんが銀行ルールに違反していないか自主的に相談したにも関わらず、所属長や銀行幹部がAさんの自己申告を疑って自宅調査まで強行したことが事態報告書でも明らかになりました。

例えば、悪意を持って情報漏洩をするような人物が、わざわざ自主的に相談するだろうか?銀行幹部も、Aさんがそんな悪意のある人物ならば、自主的な相談の前に証拠隠滅することは明白にも関わらず、わざわざ、人権侵害のリスクを負ってまでAさんの自宅調査やAさん個人のスマホやPCの検閲を強行した緊急性と重要性は何だったのでしょうか?自宅調査に拘った銀行幹部はどれほど人権を軽視しどれほど無謀だったのでしょうか?本件に関わった多数の銀行幹部の中に、この無謀な自宅調査を止めさせる冷静な人物はいなかったのでしょうか?当組合では、この率直な疑問に、なぜ銀行は回答できないのか、それが全く理解できません。

1年以上の団交を通じ、すぐに救済されるべきAさんに対し、銀行は二次被害を与えるかのように、次々とAさんの主張する事実を根拠も示さず否定するなど、さらにAさんを精神的に追い詰め、本来、即刻、処罰されるべき所属長・副所属長他、銀行幹部を擁護する銀行側団交窓口の人事部、三井住友銀行の幹部達は恥を知れ!これは、もはや三井住友銀行の組織ぐるみのパワハラであり人権侵害行為であると当組合は強く主張します。

事態報告書の改ざんと言論封殺

上記を記載した事態報告書(全4頁版)を所属長にメールで提出した後、所属長は、上司としての報告書とともにAさんが書いた事態報告書(全4頁版)を原文のまま銀行幹部達に転送しました。そのメールの送受信記録は、宛先に数多くの銀行幹部の名前や役職が確認でき、Aさんへの人権侵害行為を「知らなかった」「記憶にない」とは言い逃れできない確固たる証拠でした。この銀行幹部達もAさんへの人権侵害行為に大きく関係することがこの本日の資料やプレゼンテーションから明らかになりました。

銀行幹部へ所属長がメールした後、驚くべきことに、所属長からのAさん宛返信メールに添付された事態報告書(銀行本部改ざん版)には、銀行や所属長にとって不都合な内容(「懲戒」発言や、パワハラが常態化していた事実等、前述した内容)は全て隠蔽され、4頁あったものが2頁にまで簡略化され、事態報告書を銀行や所属長に都合の良いように『改ざん』してAさんに返却したのです。所属長は、この改ざんされた事態報告書に反省の弁をAさんに加筆させ、あたかもAさんが作成したかのような事態報告書をAさんからメール送信で所属長や銀行本部に提出させられたことも明らかになりました。Aさんが最初に事態報告書を所属長にメール送信してから、たった4時間以内にこれらの証拠隠滅や文書改ざん行為が行われたことも明らかになりました。

この一連の銀行幹部達や所属長の証拠隠滅や文書改ざん行為は、銀行に不都合なことを隠蔽した許しがたいコンプライアンス違反であり、銀行の優越的立場を背景とした言論封殺やパワハラであることに疑いの余地はありません。この銀行幹部達も加担した重大な不祥事をコンプライアンス違反でないと主張するのであれば、銀行の営業現場では、証拠隠滅や文書改ざん行為が横行し、上司の独断で自由な発言や発想が封殺されることは避けられないでしょう。

所属長が作成した報告書から明らかになった加害者側の認識不足

また、上記の事態報告書と同時進行で、所属長が作成した総務部長宛ての報告書の内容も紹介されました。

【総務部長宛ての報告書の内容】

  • 自宅調査を行った理由について、団交で銀行が回答した理由と大きく相違している
    「機密情報を銀行メールアドレスに送信したことがルール違反」と銀行が団交で説明していたことが、総務部長宛ての報告書では「自宅からのメール送信自体がルール違反」と記載されており、銀行説明と相違しています。
    この時点で、Aさんの銀行ルール違反は何が問題点なのか正しく検証されず、メール送信行為をもって銀行ルール違反と決め付けられており、所属長やその報告を受けた銀行幹部たちも銀行ルールの認識不足が明らかになりました。
  • 団交で銀行主張してきた「自宅調査への本人同意」に関する記載が一切ない
    なぜ、人権侵害行為にもなり得る自宅調査までしなければならなかったのかの事由も全く記載されておらず、銀行が主張する「本人の同意を得た」と裏付ける意思確認やその方法についても、全く記載されていないことが明らかになりました。
    このことは、銀行が正当性を主張する自宅調査について、当組合が「人権侵害であり、本人の同意を得たことを主張するならば、同意取得の慎重な検証が必要であること」を団交で指摘するまで、銀行側に人権侵害の認識がなかったことの明らかな証拠と言えます。

銀行の新たな不祥事が浮き彫りに!2ヶ月も待たせた挙句、「何ら反省なき」銀行回答

2023年1月13日の団交で、銀行の不祥事に繋がる多くの新事実が明らかになり、これまで銀行が団交や回答書で主張してきた内容が、事実の隠ぺいや虚偽にあたることがあらためて浮き彫りになりました。

団交当日の銀行側出席者に、この明らかになったことに対しての意見を求めましたが、反論もなく、この新事実指摘に、納得したように頷き、これまでの銀行主張に無理があったことを認めざるを得ない状況となりました。それを踏まえて、団交の最後に、これまでの銀行主張が間違えていたことを人事担当役員や人事部長など権限者に伝えて、今後は、解決に向けた話し合いに着手することを要求し、散会しました。

当組合は、団交後1ヶ月経過した2023年2月15日時点で銀行回答がなかったことから、団交録音を良く聞いて回答すべき点を明確にするよう要請書を提出しました。

その結果、団交終了から2ヶ月以上も経過した2023年3月20日に銀行回答が提示されました。その回答書の内容は、第6回団交で明らかになった事実や組合からの指摘に対し、何ら検証をすることも根拠を示すことも無く、「当行の見解として、人権侵害行為があったとは考えておりません。」と、団交当初からの銀行主張と全く変わらない一方的な回答を繰り返してきました。

【2023年3月20日付け銀行回答書の呆れる内容】

  • Aさんは、事態報告書に、反省を述べ、自宅調査を受けたことの不服等を述べていないことから、人権侵害行為があったとは考えていない
  • Aさんへの上司の恫喝行為を現認したものは、銀行調査ではおらず人事部調査結果は妥当であった。

このように、2023年1月13日団交で明らかになり指摘した事実に対し、何ら釈明と明確な説明もないままの極めて不誠実な回答でした。

大阪労働局へ人権侵害行為とパワハラ問題を相談

2023年3月1日、当組合は、大阪労働局へ三井住友銀行の人権侵害行為とパワハラ問題を相談しました。2023年1月13日の団交内容を報告し、判明した明らかな事実に対する銀行対応の問題点を指摘したところ、労働局として調査に入るとの回答を受けました。

ところが、この大阪労働局の調査を受けた後の2023年3月20日付け銀行回答が、昨年3月7日付けの当初の銀行回答内容から全く変わっていないことに呆れるばかりです。

グローバルな三井住友銀行のガバナンス欠如の実態の改善を求めて

当組合として、大阪労働局の調査を受けても、三井住友銀行の姿勢が変わらないことを踏まえ、2023年4月12日には近畿財務局に、4月14日には、メガバンクの監督官庁である金融庁に対して、三井住友銀行への指導要請を行いました。同時にパワハラ問題所管の厚生労働省にも金融庁との合同調査を要請しました。

【福留新頭取に告ぐ】

あなたが、頭取就任に際し、全従業員に、清廉高潔・現地現物・変革志向を重視するとメッセージで伝えたことが上辺だけの言葉でないと言えるのであれば、あなたがアイスホッケーで真のスポーツマンシップを培ったと言えるのであれば、すぐに解決(第一弾の組合要求)に向けた話し合いに着手してください。

ここまでの三井住友銀行の不祥事が明らかになったにも関わらず、これまでどおり「当行の見解として、人権侵害行為があったとは考えておりません。」と被害者の気持ちを無視して一方的な主張を繰り返すのであれば、我々は、さらなる追及を行います。これまでの銀行対応について、不当労働行為であるとして第三者機関に訴えます。従業員の最後の砦であるはずの貴行の内部通報制度が自浄作用もなく全く機能していない事実も世間に明らかにします。

当組合は、あらゆる手段で、社会や、三井住友銀行・三井住友フィナンシャルグループの「従業員」「お客さま」「株主」に貴行の不祥事と、それを改善することなく正当性を主張する反社会的な姿勢を公表し、貴行のガバナンスや自浄作用の欠如を訴えます。

最後に

私たちは、三井住友銀行が今年の株主総会までに、一連の人権侵害行為の解決に向けて、本気の具体策を示し、企業の社会的責任を果たすことを強く求めます。

お問合せ・ご相談

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